2026年7月23日に令和8年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会が開催されました。約1年ぶりの開催になります。
当該部会において、2025年公布による改正薬機法の施行状況の報告があったほかに、薬事制度関連のあらたな動きとして、新用途開発医薬品(仮称)の導入、先駆的医薬品等の指定要件等の見直しの議論が厚労省から提示されました。
これらの制度見直しの内容について、まとめておきます。関連資料はこちらになります。
新用途開発医薬品(仮称)の導入
新用途開発医薬品(仮称)は、今回新たに提案された申請区分になります。以下の資料にあるように、イメージされているものは、
- 再審査期間が終了した既承認医薬品の有効成分
- 既承認医薬品と投与経路、効能効果、剤形又は用法用量が異なる
いわゆるリポジショニング医薬品になります。

新用途開発医薬品(仮称)の承認申請に関する取扱いの特徴は、以下が想定されています。
- 申請にあたって学会要望があることが望ましい
- 非臨床試験の減免あり(公表情報の活用を含む)
- 臨床試験成績は必要
- 販売名は既承認品と異なる販売名を付すことが可能
- 再審査期間の付与あり(新投与経路:6年。新効能、新用量:4年)
- 製造販売後調査は原則実施


この制度の導入にあたっては、薬機法の改正は不要、通知の手当による申請区分の新設がメインとなります。申請手数料を設定する手数料令の改正も発生する可能性はありますが、いずれにせよ、厚労省のやる気次第で、早々に制度導入に至る可能性があります。
先駆的医薬品等の指定要件等の見直し
先駆的医薬品等の指定(いわゆる先駆け指定)について、指定要件の見直しが2点、提案されました。
1つめは、指定要件のうち、欧米より先又は同時(海外での申請から3ヶ月以内)に日本で承認申請されることが求めらる点です。
この点について、「指定後の予見困難な事情により申請時期に変更が生じた場合は、海外での申請から3ヶ月経過したときの取消は行わず、海外で承認されるまでに承認申請を求める」との運用見直しとなっています。
もう1点は、「同機序・同効能で先に指定を受けている医薬品等がある場合」です。この場合、後続品はこれまで先駆け指定を取得することができませんでした。
今回の見直しにより、「既指定の品目が承認を受けていなければ、指定要件を満たす場合には、個別の開発状況等を踏まえて指定可能」となります。

これらの見直しも通知レベルでの手当となりますので、厚労省がその気になれば速やかに導入が可能となります。
今回の見直しは、「活用実績が乏しい要因として、指定取消の予見性を低下させている運用上の課題が指摘されている」点への対応とされています。しかし、指定取消の予見性が主要な阻害要因であったかについては疑問が残ります。むしろ、制度利用が進まなかった背景には、以下のようなより構造的な課題が存在していたと考えられます。
- 先駆け指定後の負担増大:コンシェルジュ対応や各種PMDA相談の追加実施など、指定後に企業側のリソース投入が大幅に増える一方で、その負担に見合うメリットが十分に提示されていなかった。
- 先駆け指定のメリットの限定性:審査期間は6か月とされているものの、申請に至るまでの準備に相応の時間・労力を要するため、実質的な開発加速効果は限定的である。また、他の加算制度と比較した際に、先駆け加算の魅力が相対的に弱い点も制度利用を後押ししなかったと考えられる。
これらを踏まえると、より本質的な課題への対応が不可欠ではないかと考えます。
さらに、最近の米国の動向を踏まえると、「日本で先駆けて」により慎重な対応が出てくる企業も相応に出てきているのではないかと推察します。

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