医薬品の添付文書改訂のうち、製造販売業者から積極的に改訂を希望する場合は、PMDA相談(という名の評価)を活用する進め方があります。
2024年3月28日に掲載されたロンサーフ配合錠(大鵬薬品工業株式会社)の添付文書改訂は、他剤との併用に関して、海外臨床試験結果の内容を反映する形で行われました。
このロンサーフ配合錠の改訂は、これまでのPMDA/MHLWの対応ではなかった事例となっています。
ロンサーフ配合錠の添付文書改訂の特筆すべき点
PMDAからこの改訂に関する概要と改訂の理由及び調査結果を示す文書が公表されています。
https://www.pmda.go.jp/files/000267520.pdf
添付文書の改訂内容は、まず、「用法及び用量に関連する注意」の項において、ベバシズマブとの併用に際して「臨床成績」の項の情報を理解した理解した上で投与する旨が追加されました。合わせて、「臨床成績」の項に、関連する臨床試験(SUNLIGIT 試験)成績も追記されました。
この内容において、特筆すべき点は、添付文書改訂による併用が認められたこと、この試験成績が海外臨床試験であったこと、の2点です。
抗がん剤を中心に他剤併用に関する情報については、得られた臨床試験データ等に基づき、製造販売承認事項一部変更申請を行って、承認を取得することで併用が認められるようになることが主流です。その状況において、今回の改訂は、(薬事手続き的な手間、費用がより抑えられる)添付文書改訂相談の枠組みで併用が認められた事例となります。
また、通常、併用に関する臨床データでは日本人データが求められます。ところが、今回は、日本人データなしの海外臨床試験データに基づき、併用が認められており、これまでのPMDA/MHLWの判断とは異なる議論、傾向が出てきているのではないかとも推察されます。なお、この海外臨床試験データに基づき、米国では本併用に関する承認申請、審査、承認(2023年8月)を経て併用可能となっています。
今回の事例を踏まえて、今後、同様なアプローチが増加する可能性があると考えます。なお、本改訂にあたっては専門協議も実施されています。
医薬品の添付文書改訂の流れ(製造販売業者が希望する場合)
PMDA相談の枠である「医薬品添付文書改訂事前確認相談」、「医薬品添付文書改訂相談」を活用して、PMDAと協議を行います。
https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/consultations/0079.html
実質的には「医薬品添付文書改訂相談」によりPMDAの評価が行われることになります(専門協議の実施を含む)。この相談は、「相談を実施する月の4ヶ月前の第1勤務日」に申し込むこととなっているため、相談後に実際の添付文書改訂を行うことを考えると、早くとも半年程度の時間は見越す必要があります。(それでも承認申請に基づく対応では、通常品目の標準審査期間が1年であることを踏まえると、より早期に添付文書改訂に至る可能性が高いです。)
関連リンク
医薬品添付文書改訂相談に基づく添付文書改訂(ロンサーフを含む改訂の事例が掲載されています):https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/revision-based-on-the-consultation/0001.html
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