2024年度の診療報酬改定に伴って、2024年6月からプログラム医療機器(Software as Medical Device、SaMD)に評価療養及び選定療養が適用される仕組みが導入されますので、その概要をまとめておきます。
プログラム医療機器の開発推進は、規制改革会議の健康・医療・介護ワーキング・グループでもフォローアップされており、今回の評価療養及び選定療養の適用はその流れも汲んだ対応となります。
評価療養及び選定療養の内容
2023年3月22日の中医協総会の資料がまとまっています(こちら)。実際に発出された告示は、厚生労働大臣の定める評価療養、患者申出療養及び選定療養等の一部を改正する告示(厚生労働省告示第122号)となります。
評価療養の適用
薬事上の第1段階承認を取得したプログラム医療機器の場合と保険適用外の使用に係るチャレンジ申請を行うプログラム医療機器の場合を想定して、評価療養が導入されます。
第1段階承認を取得したプログラム医療機器の場合
第1段階承認後に、製造販売業者が評価療養の対象品目としての位置づけを希望して申請書を提出することで、評価療養の対象となるかの議論が行われます。認められると、第2段階承認に向けて、評価療養下で臨床データを収集していくことになります。評価療養によるデータ収集の進捗については、少なくとも2年に1度の頻度で報告が必要になります。
なお、二段階承認の想定としては以下のような糖尿病治療補助プログラムが例示として示されています。
① 糖尿病由来の病的な症状等の緩和・改善を評価する探索的治験成績から、「糖尿病由来の特定の症状の緩和・改善」で第一段階承認が可能である。
② 製造販売後臨床試験成績等から、「糖尿病の長期的な治療・改善」が示された場合は第二段階承認が可能である。
保険適用外の使用に係るチャレンジ申請を行うプログラム医療機器の場合
こちらは、保険適用期間を超えてプログラム医療機器を使用する場合や、保険適用範囲を超えた年齢・病態に使用する場合等が想定されています。
製造販売業者は、チャレンジ権の取得に係る申請の際に、再評価を希望する内容に現在保険適用されていない範囲の使用又は支給に係る有効性に関するものが含まれており、当該範囲の使用又は支給について評価療養を希望する場合に、申請書を提出します。認められると、チャレンジ申請に向けて、評価療養下で臨床データを収集していくことになります。評価療養によるデータ収集の進捗については、少なくとも2年に1度の頻度で報告が必要になります。また、認められた場合は、チャレンジ申請から保険適用までの期間の期間も評価療養が適用されます。
選定療養の適用
保険適用期間が定められているプログラム医療機器について、保険適用期間終了後の使用にあたって、製造販売業者が、選定療養として使用されることを希望する場合に、申請書を提出します。認められると、選定療養が適用されます。
こちらは、すでに適用の可能性がある製品が上市されてます。例えば、高血圧治療補助アプリのCureApp HTです。この製品は、保険適用決定の際に6か月を上限とすることとされていますので、今後、6か月を超えて診療で使おうとする場合、選定療養を選択する可能性があります。
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