2024年4月18日の令和6年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会から、次期薬機法改正の議論が開始されています(関連記事)。
2024年7月25日に、令和6年度第5回会議が開催となりました。今回は、医療機器、体外診断用医薬品の制度関連を中心に議論されていましたので、その内容をまとめておきます。
医療機器
正直、あまり目ぼしいものはありません。登録認証機関の取扱い見直し、プログラム医療機器(SaMD)の先駆的指定の法制化(現在は通知運用)が挙がっていますが、粛々と対応されればよい内容です。
1点のみハイライトするのであれば、上記資料において、SaMDの意義として、診断・治療等への活用のみならず、関係者の負担軽減、医療現場での業務改善に資する点を厚労省が明確に示したことです。
医薬品等の承認審査にあたって、このような点は考慮のポイントはならないこと(有効性、安全性及び品質が論点)から、本制度部会の議論にもなじまないものではありますが、厚労省として意識が上がってきていることが伺えます。
体外診断用医薬品(IVD)
体外診断用医薬品について、大事な論点が3つ挙がっています。
まず、副作用報告です。体外診断用医薬品は、薬機法上の定義では「医薬品」になります。一方で、その製品特性から「医療機器」と類似した制度が適用されている部分が多くあります。例えば、承認審査の仕組みは、医療機器と同様の仕組みになっています。
今回の提案では、医薬品ベースの副作用報告から、医療機器ベースの不具合等報告の制度に移行するというものです。こちらのほうが国際整合を含めて、より適当な運用になるであろうことが期待できます。
次に、製造販売承認前試験制度の廃止です。梅毒やHBVといった感染症に対する診断薬については、承認前(承認審査中)に、国立感染症研究所(感染研)が実際の製品を使って性能確認を行っています。
製造販売承認前試験は昭和60年ごろからの仕組みということで、さすがに不要だろうということで今回の提案になっています。
まさにその通りです。
3点目は、研究用試薬の取締り強化です。コロナ下で大々的に明らかになりましたが、感染症に対する検査に使う試薬といったものについては、体外診断用医薬品として厚労省の承認を取得したものと、研究用として何ら確認を受けていない製品が流通しています。
今回は、試薬の目的に応じて、しっかり薬機法上で(未承認体外診断用医薬品として)取締りを行っていき、信頼できる製品(厚労省が承認した体外診断用医薬品)を流通させるために手を打つということになります。
こちらも、ぜひ進めていただきたい見直しとなります。
その他
その他の項目の中では、後発医薬品審査における特許の確認に関する事項が取り上げられています。
先発品の特許に対して、後発医薬品が抵触しているかどうか、現行の厚労省主体の確認では限界があるため、今後のどのような仕組みで確認すべきか、(厚生労働科学研究費を新たに確保して)研究班で検討していく旨が示されました。
こちらは、薬機法改正を伴う内容ではありませんが、制度改正に関するものとなっています。
今回の第5回会議までで、大きな論点は一巡したように思います。ここまでの議論を踏まえて、制度部会での報告書をまとめつつ、薬機法改正に必要な事項について、今秋の臨時国会、来年早々の通常国会での法案提出に向けて、法案資料をまとめていく作業が厚労省内で発生してきていると考えられます。
関連リンク
- 医薬品医療機器制度部会のページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_430263.html
- 令和6年度第5回医薬品医療機器制度部会のページ(各種資料あり):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41751.html
- 2025年薬機法改正に向けた議論の開始:https://regulatory-j.com/act-revision-2024-1/
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