医薬品承認申請時の日本人データの必要性通知(2024年10月23日付け)

2024年10月23日付けで医薬品の条件付き承認に関する通知の改正通知が発出されましたが(関連記事)、同日に、医薬品の承認申請時における日本人データの必要性に関する考え方を示した通知が発出されました。

希少疾病等に用いる医薬品について海外においてのみ検証的な臨床試験が 実施されている場合における日本人データに係る基本的考え方について」(医薬品審査管理課長通知)が該当の通知になります。

こちらの通知も、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消や創薬力強化を目指して薬事規制関連の議論を進めるために開催された「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」の議論を受けた対応となります。(検討会の報告書はこちら

通知の内容

こちらの通知は(も)、検討会の報告書を踏襲したものになっています。

まず冒頭に、「我が国での医薬品の承認審査においては、日本が参加した国際共同治験又は国内試験の結果に基づいて、日本の医療環境下の日本人での有効性及び安全性を評価することが基本である」として、日本人データが期待される旨が示されています。

そうはいうもののということで、日本人データなしで「承認申請を行うこと」ができる可能性のある場合として、以下の3つの場合が挙げられています。

  • 海外で既に主たる評価の対象となる臨床試験が適切に実施されている場合
  • 極めて患者数が少ないこと等により、追加の臨床試験を新たに実施することが困難な場合(条件付き承認と同様、評価に時間がかかる場合や急性疾患による治験の困難さも考慮されます)
  • 得られている有効性・安全性に係る情報等から、総合的に、日本人におけるベネフィットがリスクを上回ると見込まれる場合

これらの条件を満たした場合に日本人データなしでの承認申請が認めれられる可能性がありますが、「患者への当該医薬品のアクセスをできるだけ確保し、日本の実臨床下での適正使用に向けた準備を進める等の観点も考慮し、承認申請と並行して治験(拡大治験を含む。)を実施し、日本人患者に投与した際の情報を可能な限り収集することを検討すること」となっています。すなわち、承認申請は行ってもよいが並行して日本での治験を実施してください、ということも示されています。

合わせて、日本人での臨床試験結果を求める場合は、条件付き承認が適用される可能性も示されています。(こうなると、優先審査となるものの、薬価の不透明感が上がることになります。)

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