広告規制(医薬品、医療機器、再生医療等製品)

2025年薬機法改正に向けた議論に関連して、業界要望ヒアリングが、2024年5月17日の医薬品医療機器制度部会に実施されました。

業界要望の1つに、日本医療機器産業連合会(医機連)からの広告規制の見直しがありました。「医療機器については一般消費者向けの広告を原則可能とし、一定のルールの下、正しい情報提供に努めることが重要ではないか」との提言です。

ここでは、現在の医薬品、医療機器、再生医療等製品に関する広告規制の情報を整理しておきます。

広告規制

薬機法上に以下の事項が規定されています。医薬品等の広告は、これらの規定を根拠として規制が運用されています。

  • 虚偽、誇大広告の禁止(第66条)
  • 特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限(第67条)
  • 未承認医薬品等の広告の禁止(第68条)

虚偽、誇大な広告や未認可の製品の広告については、医薬品、医療機器、再生医療等製品だけでなく、あらゆる製品やサービスの広告にあたっても、留意されるべき事項であろうことから理解しやすいかと思います。

特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限については、薬機法施行令及び施行規則により詳細な内容が示されています。

特定疾病(特殊疾病)は「がん、肉腫及び白血病」と規定されています。(薬機法施行令第67条)
これらの疾病用の製品であって、具体的に対象となる医薬品及び再生医療等製品の名称(一般名)が提示されています。(薬機法施行規則第228条の10第1項)

そして、これらの特殊疾病に関する広告は「医薬関係者を対象として行う場合のほか、行ってはならない」とされています。(薬機法施行規則第228条の10第2項)

すなわち、がんに関連した医薬品等の広告は、医師、薬剤師等の医薬関係者向けのみの広告が許容されています。したがって、患者さんを含む一般消費者向けの広告は禁止されています。

そのため、テレビCMやインターネット広告のような誰もが閲覧可能な広告において、抗がん剤の広告を見かけることは日本ではありません。(あくまで、日本での広告規制であり、欧米では規制が異なるため、抗がん剤のテレビCMが流れたりします)。

広告の該当性

上記で薬機法上の広告規制がどうなっているかをまとめましたが、そもそも「薬機法上の広告」とは何かについて、通知が出ています。この通知において、薬機法上の広告は、以下の3点をいずれも満たすものとされています。

  • 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昴進させる)意図が明確であること
  • 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
  • 一般人が認知できる状態であること

この該当性基準及び次項の適正広告基準に基づき、各都道府県庁(の薬務課)が医薬品等の広告が適切であるかの監視業務を行っています。

なお、医薬品広告の該当性、適切性は、まず都道府県レベルで確認していくことになるので、都道府県間で判断がぶれる可能性があります。

適正広告基準

医薬品、医療機器、再生医療等製品の広告規制は、薬機法第66~68条の規定が根拠になりますが、実際の規制運用のために、医薬品等適正広告基準が通知レベルで示されています。

上述のように、この基準に基づき、医薬品等の広告が適切に実施されているかの監視活動が行われています。

この基準の中に以下のような記載があり、医師等の使用(又は処方/指示による使用)を目的とする医薬品、医療機器、再生医療等製品は、患者さんを含む、一般消費者向けに広告を行ってはならない、とされています。

医機連は、このあたりの広告規制、運用について、現在の誰もが情報アクセス、情報発信が容易になった世の中には馴染まないのではないかと指摘しています。

その他、この基準が医薬品等固有だと思うのは、「広告を行う者の責務」(第3項)として、正確な情報の伝達に努めなければならないこと医薬品等の品位を損なう又は信用を傷つけるおそれのある広告は行ってはならないこと、が規定されていることです。

したがって、例えば、他社製品を誹謗、中傷することといったことは禁止されています。

なお、医療用医薬品については、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」というさらに詳細に踏み込んだ通知も出ており、こちらの順守状況も監視されています。

まとめ

医薬品、医療機器、再生医療等製品の広告は、薬機法に基づく規制が行われています。特に、医薬品等は、医師等医薬関係者を通じて使用されることが想定されるものがあるため、患者さんを含む一般消費者向けの広告に対する禁止/制限が明確に規定されています。

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