医療用医薬品において、承認事項一部変更承認申請、電子化された添付文書改訂に対してレジストリデータを活用しようとする場合の留意点を示す通知が2024年10月6日付けで発出されました。
正直、個別判断でPMDAに相談するように促しているだけで、今回の通知でもって何かが変わることは期待できないように見受けました。創薬力強化のための構想力会議や厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会における次期薬機法改正の議論でリアルワールドデータの活用が話題になっているために、対応をした感があります。とはいうものの、ポイントをまとめておきます。
医療用医薬品の一変申請において活用する場合
レジストリデータを活用しようとする場合、そんなレジストリがあれば、苦労しないという以下のような条件が設定されており、ハードルは非常に高そうです。
- 対象集団の特性を適切に反映している
- 信頼性が担保されたデータを取得することができる
希少疾病や小児に係る効能・効果、用法・用量の追加等での可能性が期待されているようです。小児については確かに可能性が無きにしも非ずのような感じもします。一方、希少疾病となると、そもそも一変申請が必要ということは適応外使用が前提となる中、適応外使用をしますよ、とあらかじめて規定してレジストリを構築することが躊躇われるのではないかとも思います。
一方で、レジストリデータだけではなく、以下のような補足情報も役立つ可能性がある旨を例示したことで、申請者は申請準備がやりやすくなったのではないかと考えます。
- 既承認の適応に係る承認時の臨床試験成績
- 一変申請を行おうとする適応に係る臨床現場での使用実態に関する資料
- 米国、欧州等で薬事承認の際に評価に用いられた資料
- 国内外の診療ガイドライン等の情報が重要な補足情報
電子添文改訂において活用する場合
こちらは、レジストリデータに限らず、臨床試験データ等市販後に出てきた情報に基づく添付文書の改訂事例が集まってきています。「医薬品添付文書改訂相談に基づく添付文書改訂」としてPMDAが事例をまとめて掲載していますので、こちらを参照することにより、どのようなデータが活用されているか容易に知ることができます。
これまでの「17.2 製造販売後調査等」に加えて、「5. 効能又は効果に関連する注意」、「7. 用法及び用量に関連する注意」、「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」、「17.1 有効性及び安全性に関する試験」に関して、実臨床で得られたデータに基づき添付文書を改訂する可能性が示されています。
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