毒薬又は劇薬の該当性に関する案の伝達時期の前倒し(2025年1月以降の部会審議品目から)

2025年10月2日付けで「毒薬又は劇薬の該当性に関する案の伝達時期について」(医薬品審査管理課長通知)が発出されました。

通知の内容

承認申請された医薬品における毒薬又は劇薬の該当性は、承認の可否とともに、審査終盤の医薬品審議会 医薬品第一部会又は第二部会で審議されされます。

ただし、毒薬又は劇薬の該当性は、PMDAが(申請者の該当性に関する申請内容を元に)審査の中で検討し、審査報告書中に意見を示します。その意見を元に、部会で審議されることになります。

今回の通知は、PMDAの意見(部会審議されていない案の段階のもの)を、これまでより早めに伝達します、ということを示したものになります。

具体的には、これまではPMDAが審査報告(2)を作成する段階で毒薬又は劇薬への該当性が示されました。これは、申請者にとって、部会直前(部会前1か月程度あるかないか)といったような時期にPMDAが提案しようとしている該当性の意見が判明するという状況でした。

今後は、審査報告(1)の段階でPMDAによる毒薬又は劇薬への該当性の評価が示されることになります。審査報告(1)の時期となると、専門協議前となりますので、審査報告(2)の時期と比較すると1~2か月程度は早めにPMDAの意見が判明することになります。

さらに、通知では、審査報告(1)が作成される前であっても、申請者はいつでも検討状況を確認することができ、その時点でのPMDAの考えが共有される旨が示されています。

この運用は、2025年1月以降の部会審議品目となっています。1月の部会に議題となる品目であれば、この通知が発出された2024年10月初旬時点では、これからまさに審査報告(1)が作成されて、専門協議に進む段階にあろうかと思います。したがって、この通知は実質、即日適用となり、今後作成する審査報告(1)には、この運用を適用していくよう配慮されています。

毒薬又は劇薬の該当性の早期伝達が求められた理由

毒薬又は劇薬の該当性の判断が申請者とPMDAで異なったことで問題が生じた事例が実施にあったかは把握していません。

しかしながら、毒薬又は劇薬への該当性は、医薬品の上市準備、特に、製造準備に影響を与えます。

以下、薬機法で規定されている、毒薬又は劇薬に関する直接の容器又は包装に求められる要求事項になります。

”第四十四条毒性が強いものとして厚生労働大臣が薬事審議会の意見を聴いて指定する医薬品(以下「毒薬」という。)は、その直接の容器又は直接の被包に、黒地に白枠、白字をもつて、その品名及び「毒」の文字が記載されていなければならない。
2劇性が強いものとして厚生労働大臣が薬事審議会の意見を聴いて指定する医薬品(以下「劇薬」という。)は、その直接の容器又は直接の被包に、白地に赤枠、赤字をもつて、その品名及び「劇」の文字が記載されていなければならない。
3前二項の規定に触れる毒薬又は劇薬は、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。”

すなわち、毒薬は、黒地に白枠、白字で品名及び「毒」の文字、劇薬は白地に赤枠、赤字で品名及び「劇」の文字の表示が必要となります。(以下、左が毒薬、右が劇薬のイメージ図)

毒薬又は劇薬に関する該当性の判断が申請者の考えと異なるということは、上記の表示対応を変更する、すなわち、パッケージ等のデザインを修正しなければならない状況が生じることなります。

したがって、申請者としては、できるだけ早い段階から、毒薬や劇薬の該当性の考え方が、PMDAの意見と齟齬がないかを確認したいということになります。

今回の通知により、申請者側にとっては状況が改善されることになりそうですが、審査報告(1)の段階でも遅いというのが実情ではないかと思います。

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