分散型治験における保険外併用療養費の取扱いについて

2024年7月4日付けで、保険局医療課と医政局研究開発政策課の連名の事務連絡「分散型治験における保険外併用療養費の取扱いについて」が発出されました。

分散型治験(DCT:Decentralized Clinical Trial)は、COVID-19の流行以降にその機運が非常に高まってきています。

その中で、この事務連絡は、文章量は多くないにもかかわらず、以下の点を明確に示したとても重要なものだと考えます。

分散型治験における保険外併用療養費

事務連絡のタイトル通りですが、治験実施医療機関以外の医療機関(パートナー医療機関)が、治験業務の一部を実施する場合、「初診料、再診料等が保険外併用療養費の支給対象となること」及び「パートナー医療機関において算定すること」が明確に示されました。

これにより、治験に関連して、パートナー医療機関で診療行為を行う際の取扱いが明確になりました。すなわち、治験実施医療機関同様に、パートナー医療機関でも診療等は保険下で実施することが可能である旨が示されました。

パートナー医療機関

パートナー医療機関という用語及びその定義が、この事務連絡で行政文書上初めて規定されました。分散型治験(DCT)において、治験実施医療機関以外に治験の一部を協力する医療機関については、サテライト医療機関といった用語も使われたりしていましたが、今回の事務連絡を機にパートナー医療機関という名称が使用されていくことになりそうです。

合わせて、パートナー医療機関(と治験実施医療機関)は、医薬品GCP省令第39条の2、医療機器GCP省令第59条、再生医療等製品GCP省令第59条に基づく委託契約を締結する必要がある旨が明確に示されました。

医薬品GCP省令第39条の2の委託契約なので、SMOによる治験業務支援と同様の位置付けとなります。すなわち、実施医療機関が治験業務の一部を委託するものとして、治験実施医療機関とパートナー医療機関の2者間契約が基本となります。

そして、このような場合は、医薬品GCP省令第13条に基づく治験の契約ではないこともポイントになります。第13条の治験の契約は、治験依頼者(企業)と治験実施医療機関の間での契約になります(CROを活用する場合、3者契約)。

パートナー医療機関は、この第13条の治験の契約はなくとも、治験業務の一部を実施できることになりそうです。

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