国内開発未着手の医薬品について、国が情報を整理

2024年7月6日開催の「第59回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて厚労省から提示のあった新たな取組みになります。ドラッグ・ロスの解消を目的として導入されます。

新たな仕組み

概要図は以下になります。赤字部分が新たな仕組みです。(資料はこちら

以下にありますが、2023年3月時点の情報として、米国又は欧州で承認されているが日本では承認されていない医薬品が143品目あるとのこと。そのうち、86品目は国内開発が未着手となっています。

これらの品目について、学会や患者会からの要望提出を待たずに、国(厚労省)が主導して情報収集、情報整理を行い、医療上の必要性を検討していくことになります。

厚労省は、この作業にあたって「厚生労働科学特別研究事業」を活用していくこととしています。すなわち、厚労省が所管、交付する研究費を準備し、それを研究者(アカデミア)に提供することで、(その研究者が主導して)医療上の必要性の検討作業を進めていくことを想定しています。

研究費(厚労科研費)という厚労省の予算措置が必要な対応となっており、2024年7月時点で、すでに2024年度の研究費の公募は二次募集まで終わっていることから、既存の2024年度予算で対応していくのかは不透明です。

2024年度補正予算、2025年度予算を想定している場合、今回の枠組みは、2024年後半から2025年に実際に動き出すことになります。

厚生労働科学特別研究事業

厚生労働科学特別研究事業が出てきましたので、ここで整理しておきます。

厚労省は、「研究事業」として「厚生労働科学研究費」を取り扱っています。厚労省は、この研究費について、(AMEDを介さずに自身で)予算確保、研究課題募集、研究者選定、予算執行を実施しています。

この研究費は、「国民生活に深くかかわる保健、医療、福祉、労働分野の課題に対し、科学的根拠に基づいた行政政策を行うため、研究活動を推進」するためのものとされています。

厚生労働科学研究費の中にはいろいろな事業があります。例えば、令和5年度(2023年度)は、23の事業が設定されています(関連ページ)。そして、それぞれの事業で担当課が異なっています。

この事業のうち、行政政策研究分野の中に「厚生労働科学特別研究事業」が設定されています。大臣官房厚生科学課が担当しています。この事業で令和5年度に実際に採択された研究一覧はこちらにあります(44件の研究が採択)。

研究名を見ると、各種厚労省施策(例、安定供給のための仕組み検討、生成AIの活用検討、ニトロソアミンの評価体系の構築、希少疾病等に対する薬事承認審査制度の構築)を実施するために必要な調査、研究がこの事業の下で実施されていることが分かります。

したがって、今回のドラッグロス対応のための業務も、この厚生労働科学特別研究事業の枠組みを活用して、予算を用意した(する)ということになります。

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