2024年5月30日付けで厚労省(医療機器審査管理課、監視指導麻薬対策課連名)から「再生医療等製品の試験検査に関する質疑応答集(Q&A)について」という画期的な事務連絡が発出されました。
この事務連絡により、再生医療等製品について、承認事項として規定されることで、製品の規格に関する試験(出荷試験)を国内製造所で必ずしも実施する必要がない旨が明示的に示されました。
医薬品や再生医療等製品の出荷試験については、国内製造所にて実施することが大前提となっています。そのため、相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定(日欧MRA)のような国家間の条約レベルで、制度の同等性を確認した上で、他国の製造所での規格の試験結果を活用する(国内製造所での規格試験を不要とする)といった措置がとられてきています。
再生医療等製品の特殊性を踏まえて、事務連絡でその前提に対して例外運用を行うことになります。再生医療等製品では、例えば、既承認のCART製品は、自家細胞(患者さん自身の細胞)を採取し、それを培養等により増殖させて患者さんに投与します(戻します)。したがって、収率の状況等により、国内外の製造所で規格試験を行うほどの量が製造できないといったことが想定されます。
今回の事務連絡は、そのような状況に対して、運用上の手当をするような内容となっています。
今後、再生医療等製品の承認申請にあたっては、このような規格試験をどこで実施するか、という点を意識して(柔軟な対応となる可能性も考慮して)、申請していく必要があります。
なお、この事務連絡で示された条件を満たし、国内製造所での規格試験を実施しない場合、輸送等での品質への影響評価をあらかじめ実施しておく他、実際の出荷にあたっては、国内製造所において外観検査及び外国製造所での規格試験の結果の「照査」は必要となることに留意が必要です。
その他、国内製造所での規格試験の要否を相談したい場合、PMDAではなく厚労省の医療機器審査管理課に相談することになります。PMDAの相談のように、相談の申し込み手続きの様式や時期に制限はないので、随時、医療機器審査管理課に連絡することになります。
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