有用性系加算の定量的評価の評価項目(2024年度薬価基準改定より)

2024年度の薬価算定基準見直しを受けた新基準が2024年4月1日より適用されています。今回の改定のポイントはこちらでハイライトしました。

運用レベルでの重要な変更点の1つに「有用性系加算の定量的評価の評価項目の見直し」があります。この評価項目は、新薬等の薬価算定時に加算が何%になるのかを計算するために使用されます。

厚労省の2024年度の薬価制度改革関連の資料に基づき、2024年4月からの有用性系加算時の評価項目をここで示しておきます。

有用性系加算とは

上記にある、画期性加算、有用性加算(I)、有用性加算(II)が該当します。

  • 画期性加算(70~120%)はイ、ロ、ハのすべての要件を満たす場合です。
  • 有用性加算(I)(35~60%)は、画期性加算の要件のうち2つを満たす場合です。
  • 有用性加算(II)(5~30%)は、画期性加算の要件のうち1つを満たす場合か、製剤の工夫によって有用性が示されている場合です。

いずれの加算も割合に幅があります。次に示す評価項目に基づき、具体的な加算割合が検討されることになります。

2024年4月からの有用性系加算の定量的評価の評価項目

赤字下線箇所が2024年4月より新たに追加された項目になります。

  • ①:要件イの臨床上有用な新規作用機序
  • ②:要件ロの類似薬に比した高い有効性又は安全性
  • ③:要件ハの対象疾病の治療方法の改善
  • ④:要件ニの製剤の工夫による有用性

に対応しています。

各評価項目ごとにポイント(1ポイント又は2ポイント)されています。ポイント×5%で加算率が計算されます。

なお、画期性加算は11ポイント、有効性加算(I)は5ポイントがあらかじめ付与されています。この基礎ポイントと上記評価項目から該当したポイントを合算したものに5%をかけて加算率が算出されます。

所感

新たに追加された評価項目に基づき、新薬開発時に考慮すべきポイントがより明確になりました。特に、(PROを含む)QOLの評価が副次評価項目に設定してある場合、加算のポイントを取得できる可能性が明示されました。

また、特定の集団を明確に規定することの重要性も加算上認知されることになります。

さらに、希少疾病等での単群試験も加算の対象となりうることが明示されました。

新規作用機序の新薬が長期間収載されていない場合にも加算対象となることはイノベーションを評価する旨のメッセージ性を含んでいます。

今回の評価項目の追加は、ドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグ対策を含め、新薬開発をサポートする流れとなりますので、実際の運用でしっかり加算されることが今後は論点になろうかと考えています。

関連リンク

令和6年度診療報酬改定説明資料等について:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00012.html
令和6年度薬価制度改革について:https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238906.pdf

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