令和6年度「小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター事業」に係る相談手数料の助成(2024年7月から)

2024年5月26日付けで標題の通知がPMDAから発出されました(こちら)。
このPMDAの対応は、2023年5月~2024年3月に開催された「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」で示された対応方針を受けたものになります。

この検討会を受けて、ドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグの解消等を目指して「希少疾病用医薬品等の指定制度の改正」と「小児用医薬品開発の追加インセンティブ」が導入されました。これらの制度の運用に対する手当が今回のPMDA通知になります。

ここでは、今回の通知(希少疾病用医薬品や小児用医薬品開発計画確認に関するPMDA相談手数料の助成)の内容を整理しておきます。

「小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター事業」に係る相談手数料の助成の内容

助成の対象となる相談

  • 希少疾病用医薬品優先審査品目該当性相談
  • 小児用医薬品開発計画確認相談
  • 医薬品申請データパッケージ相談

が対象となります。これらの相談で想定される手数料は、後ほどお示しします。

補助の対象期間

2024年7月1日から2025年1月8日までに受け付けられた相談になります。ただし、予算があるのでその額までの相談となり、年度途中でも補助がなくなる可能性があります。

助成額

予算による助成により、以下の割合で手数料が減免されます。また、1法人あたりの件数に制限があります。

  • 希少疾病用医薬品優先審査品目該当性相談:5割(1法人当たり3件まで)
  • 小児用医薬品開発計画確認相談:全額(1法人当たり1件まで)
  • 医薬品申請データパッケージ相談:5割(1法人当たり1件まで)

留意点

これらの手数料の助成は、2024年7月1日~2025年1月8日までに実施依頼書が受け付けられたものが対象となります。したがって、2024年7月からの運用開始が想定されています。

実際、今回の通知が発出された2024年5月28日時点で、今回の助成対象となる相談(「希少疾病用医薬品優先審査品目該当性相談」、「小児用医薬品開発計画確認相談」など)の業務詳細は、まだPMDAから示されていません。(相談の仕組みが導入されていません。)

これらの相談を導入するにあたって、PMDAは、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査等業務関係業務方法書実施細則」を改訂して新たな手数料を設定する必要があります。この改訂について、2024年3月22日から2024年4月20日までPMDAはパブリックコメントを実施していました。

パブコメの意見募集は終了しているので、現在、PMDAが改訂の最終化に向けて作業をしているところです。実際に手数料が新設されると、相談に関するより詳細な手続きが示されることになります。

なお、パブコメ段階での手数料はこちらから確認できます。パブコメを受けてこの額が変更となることはまずないので、この手数料で導入されることになります。

[2024年6月3日追記:手数料はパブコメ通り設定されました(こちら)。]

  • 希少疾病用医薬品優先審査品目該当性相談:1,300,600円
  • 希少疾病用医薬品優先審査品目該当性相談(医薬品申請前相談あり):266,400円
  • 小児用医薬品開発計画確認相談:1,541,600円
  • 医薬品申請データパッケージ相談(医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議における開発公募品):7,134,300円
  • 医薬品申請データパッケージ相談(医師主導治験による開発品):7,134,300円

どのような運用がされるかは今後ですが、「小児用医薬品開発計画確認相談:1,541,600円」の妥当性は疑問です。PMDAにそれほどの手間が発生するとは思えず、また、手間が発生するとするとその運用自体が小児開発の推進という観点からは不適当ではないかと考えます。

まとめ

今回のPMDA通知により、希少疾病用医薬品の優先審査該当性の相談や、小児用医薬品開発計画確認の相談に関して、今年度(2024年7月~2025年1月受付分)は手数料が減免されることが明確にされました。

一方で、これらの相談業務の詳細は、2024年5月28日時点で最終化を待つ段階となります。

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