薬機法に基づく医薬品、医療機器、再生医療等製品の規制について、厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare: MHLW)と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency: PMDA)の役割分担はこちらに記載しました。
薬機法の運用にあたっては、厚労省及びPMDAに加えて、地方自治体、主に都道府県庁も一定の役割を担っていますので、ここで概括します。
業許可
医薬品、医療機器、再生医療等製品を日本国内で流通させるにあたって、製品の承認等に加えて、その業務を行う者(企業)は、関連する業の許可を取得する必要があります。
業の種類には、製造販売業、製造業、販売業といったものがあります。製造販売業は、企業1社に対して国内1か所の所在地での許可の取得が必要となます。これは、医薬品等の国内流通における一義的な責任主体を明確にするための仕組みとなります。
製造業や販売業は、その事業所(製造所)単位で許可を取得しますので、同一企業でも複数の許可を有することになります。
これらの業許可に関する業務(申請受付、調査、許可)は地方自治体(主に都道府県庁)が対応します。
なお、外国の製造所の場合は、外国製造業の「認定」が必要となります。こちらの業務は、PMDAが担います。
広告監視
医薬品等の広告規制はこちらに概括しましたが、広告が適切に行わているかを監視し、不適切な広告を行う者に対して指導を行うことは、都道府県庁の業務になります。
適切な広告であるかの判断に迷う場合は、都道府県庁の薬務課で相談を受けています。
医薬品等への該当性判断
ある製品がある場合に、それが薬機法の規制を受ける医薬品、医療機器、再生医療等製品に該当するか判断に迷う場合があります。
都道府県庁では、そのような製品の医薬品等の該当性について、相談を受け、指導を行います。この業務は、適切な広告の監視とも関連します。製品にどのような標ぼうを行うかによって、医薬品等への該当性判断が変わってくるからです。
例えば、水道水を「おいしい水」と標ぼうする場合は食品であり薬機法の規制は受けません。しかし、中身が同じであっても「がんに効く水」と標ぼうする場合、医薬品になります。したがって、薬機法に基づき、製品の承認とともに、その水を流通させようとする企業は、製造販売業等の許可を取得する必要があります。
このように、医薬品等への該当性の判断と広告は密接に関連することもあり、都道府県庁で対応されています。
なお、医療機器プログラム(SaMD)の開発に関する相談については、医療機器への該当性の判断も含めて、PMDAが一元的な窓口として対応します。これは、医療機器プログラムの早期実用化を促進することを目指した特別な措置となります。
国内製造所の製造管理及び品質管理の監視(GMP調査)
一部の範囲の国内製造所に対するGMP調査は都道府県庁が担っています。海外の製造所に対するGMP調査はPMDAが対応します。国内製造所へのGMP調査のうち、PMDAが対応する範囲は以下です:
GMP(医薬品):新医薬品、生物学的製剤、国家検定医薬品、放射性医薬品、遺伝子組換え技術応用医薬品、細胞培養技術応用医薬品、細胞組織医薬品、特定生物由来医薬品を製造する国内製造所
QMS(医療機器、体外診断用医薬品):国内外の製造所(第三者認証機関対応分を除く)
GCTP(再生医療等製品):国内外の製造所
したがって、化学合成で製造される低分子医薬品のようなものであって、承認された後であれば、定期的なGMP調査を都道府県庁が担うことになっています。
まとめ
地方自治体(都道府県)は、薬機法の運用にあたって、製造販売業等の業許可業務、広告監視、医薬品等への該当性業務、GMP調査といった対応を担っています。
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