医薬品の条件付き承認の取扱い通知の改正(2024年10月23日付け)

ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消や創薬力強化を目指して薬事規制関連の議論を進めるために、「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」が2023年5月~2024年3月に開催されてきました。(検討会の報告書はこちら

この検討会から半年ほど経ちましたが、2024年10月23日付けで「医薬品の条件付き承認の取扱いについて」の一部改正について、という通知が発出されました。

改正通知の内容

今回の改正通知は、検討会の報告書を踏襲したもの(ほぼコピペしたもの)となっています。

まず、条件付き承認となる対象品目について、「欧米等において、条件付き承認制度に準じる制度により承認を受けており、承認後に検証的試験(異なる治療ラインの場合を含む。)の実施が予定されている品目については、積極的に本制度の活用を検討するものであること。」となっています。すなわち、欧米等でも条件付きのような承認(米国のAcclerated Approval)の場合、日本でも条件付き承認とすることを積極的に考える旨が追加されました。

次に、検証試験の困難な場合として、必ずしも患者数が少ないだけではなく、評価に時間がかかる場合や急性疾患での治験の困難さといった点も考慮する旨が明示されました。

その他、条件付き承認後の検証試験の実施の際は、治療ラインや疾患が必ずしも一致していなくてよい可能性や日本人データが必須となるわけではない可能性が示されました。

所感

条件付き承認の制度説明と検討会での議論を踏まえた所感は、こちらに記載しています。

今回の通知は、検討会の報告書の内容を通知に書き起こしたものであり、当時の状況から変わることはなく、引き続き、条件付き承認が活用されるかは不透明ではないかと考えています。

さらに、最近の再生医療等製品での条件及び期限付承認が承認維持となっておらず、中医協でも公的保険の適用に対する疑義が投げかけられている状況にあって、優先審査となるとはいえ、条件付き承認による薬価への影響がよい方向に行くようには見えません。

そう考えると、この通知発出時点(2024年10月時点)では、条件付き承認を申請者側が積極的に目指すインセンティブは低く、むしろ、申請者にとってはリスクになると考えます。

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